監修:東海大学医学部腎内分泌代謝内科 教授 深川雅史 先生

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監修:東海大学医学部腎内分泌代謝内科 教授 深川雅史 先生

生活習慣を見直しましょう

CKDの初期は症状に気付かないことが多く、知らないうちに病気が進行してしまうことがあります。CKDの進行を防ぐために生活習慣を見直し、規則正しい生活を身に付けましょう。

日常の生活習慣

日常の生活習慣

適度な運動

適度な運動

適度な運動は、適正な体重の管理をはじめ、心肺機能や筋力アップに効果的です。無理をせず、体力や体の状態に合わせた運動を継続することが大切です。

規則正しい生活

規則正しい生活

十分な睡眠や休息は、血圧管理にも重要です。睡眠不足や過労を避け、疲れを感じた時はしっかり体を休めましょう。

禁煙

禁煙

たばこを吸うと、血管が収縮して血圧が上昇します。また腎臓の血流も悪くなるため、禁煙がおすすめです。

ストレス解消

ストレス解消

過度なストレスも、血圧の上昇に影響をおよぼします。散歩などの軽い運動や趣味など、日常の中で上手に気分転換を取り入れて、リフレッシュしましょう。

食事(栄養)

食事(栄養)

減塩

減塩

塩分はそのほとんどが腎臓から排泄されるため、腎臓のはたらきが低下すると、体に塩分がたまり、高血圧やむくみの原因になります。CKDの悪化につながる高血圧や尿たんぱくを抑えるためにも、塩分の摂り過ぎに注意しましょう。一方で、塩分を減らし過ぎると必要な栄養を摂取できないことが心配されるので、1日の塩分摂取量の目安は3g以上6g未満が目安となります。

エネルギー

CKD患者さんは、摂取量を控える栄養成分がある一方で、食事量を減らし過ぎるのも良くありません。必要な栄養が足りないと低栄養になり、特に高齢の方はサルコペニアやフレイル につながる可能性があります。栄養管理をしながらも、バランスの良い食事を心がけましょう。

  • サルコペニア・・・加齢や病気によって筋力が減少し、身体機能が低下すること。
    フレイル・・・サルコペニアなどを経て生活機能が全体的に低下した状態。

CKDが進行すると、以下の栄養素にも気を付ける必要が出てきます。

カリウム

カリウム

腎臓の機能が低下しカリウムが体内にたまると、「高カリウム血症」になる恐れがあります。カリウムはほとんどの食品に含まれているため、調理の際には工夫が必要です。カリウムが多く含まれる野菜は、茹でこぼしや、水にさらすなどの方法で、カリウムを減らすことができます。

たんぱく質

たんぱく質

たんぱく質を多く摂取すると、老廃物が多くつくられたり、たんぱく尿につながったりします。低たんぱく食を心がけ、腎臓への負担を減らしましょう。

リン

リンは体にとって大切なミネラルですが、腎臓のはたらきが低下してリンが体内にたまると「高リン血症」となり、さまざまな悪影響が引き起こされます。リンには、食物に含まれる有機リンと、加工食品の食品添加物などに使用される無機リンがあります。無機リンは体内への吸収率も高いため、特に注意しましょう。

嗜好品

嗜好品

アルコールは、適度な飲酒量を心がけましょう。またアルコールだけでなく、お茶やコーヒーなどの飲料にも、リンやカリウムなどの成分を多く含むものがあるため、摂取量に注意しましょう。

CKD患者さんが知っておきたい検査数値